外貨建てmmfのこれからの目標

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気の遠くなるような作業だったのでS社幹部はPOS導入を急ごうとしたが、Sは首を縦に振らなかった。
「POSの前に単品管理の考えを徹底的に学んでもらわなくてはいけない」。 単品管理は商品一つひとつの売れ行きを把握し商品発注や在庫管理、物流、商品開発までつながる考え方だが、この単品管理を英語で適切に言い当てるのは難しかった。
このため「TANPINKANRI」を略してTKという名称を使っていた。 社長のマシューズは毎週火曜日、従業員向けに単品管理の講座を開き、考え方の浸透を図った。

講義は全米約4ヵ所の営業拠点にも流され、1800人の営業担当者がテレビカメラに映るマシューズの話を聞いた。 Sの「S」にPOSシステムの導入が始まったのは97年6月で、99年末にようやく全店に設置された。
「どうしてSの配送センターが競合店まで配送しているのか。 誰のための物流センターなのか」92年はじめごろ、S社経営陣から物流センターの現状について報告を受けたSは、御然とした表情を浮かべた。
Sは全米に11ヵ所の物流センター、SDC(S・ディストリビューション・センター)を所有し、「S」への配送を受け持っていた。 卸売り業務が発達した日本とは異なり、米国では小売業者が物流部門を抱えているのは一般的な姿だ。
Sは全米屈指の物流システムを誇った時代もあった。 SDCはSの子会社で、各物流センターはほかの流通系物流企業と同様に独立採算性をとっていた。
米国では、特定商品を大量に買い付けると仕入れ価格が引き下がる(ボリュームディスカウント)ため、SDCでも販売可能な数量を上回る注文をすることが日常的になっていた。 「S」で見込める販売数量は考慮に入れず、商談をしていた。

このためSDCは仕入れた商品を一方的に「S」に配送するだけでなく、余った商品をS以外の流通企業に向ける取引も常態化していた。 各物流センターにはそれぞれ商談担当の従業員かおり、管理部門の人材を抱えることにもなった。
SDC部門はボリュームディスカウントで仕入れコストを引き下げたことなどにより、黒字体質を維持していたが、店舗では不人気な商品までも一方的にどんどん押し込まれ、店の魅力は無くなってしまった。 米国の「S」が値引き販売をしていた原因の一つには、こうした物流センターの方針もあった。
日本のSでは利益の源泉は店舗で生み出すという思想が徹底しているが、S社は違っていた。 というより、S社のこれまでの経営方針は米国の小売業の常識としてはなんら間違ったものではなかった。

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